不妊の自分を「ゆるす」と、不妊をやめられる

私自身が、必死な想いで不妊治療をしていた時をふり返ってみると、当時、心の奥で強く抱いていた想いというのは
「妊娠できない私は価値がない」
ということです。

そして、妊娠カウンセリングプログラムに参加されている、不妊に悩まれているクライアントさんを見ていると、同じような想いを抱えている方が多いなあ、とつくづく思います。

この「妊娠できない私は価値がない」という想いに気づいている方もいらっしゃいますが、その想いに幾重にもフタをして、自分自身で気づいていない方も少なくありません。

そして、これはとても重要なことなのですが、「妊娠できない私は価値がない」「不妊のままではダメだ」というような、今の自分を受け入れていないメンタルで不妊治療や妊活を続けても、不妊の状態が継続しやすくなってしまうということです。

自己否定が脳の動きと血流に作用し、不妊を継続させる

「妊娠できない私は価値がない」「不妊のままではダメだ」という自分を受け入れていないメンタルが、なぜ、不妊を継続させてしまうのでしょうか?

その理由は、自己否定の想いが脳の動きや血流に深く影響を及ぼすからです。

少し、くわしくご説明しますね。

「妊娠できない私は価値がない」というような、今の自分を否定し、避けようと想うとき、脳の”苦痛系”という部位が動きます(※実際にそのような部位が存在するわけではありませんが、イメージしやすくするためにこのような表現を使用しています)

脳の苦痛系が動くと、脳はストレスホルモンを分泌させ、身体の緊張状態を高めます。これは、ライオンを目の前にしたシカをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

「この危機から逃れなければ!」という状態で、身体の血液(酸素)を筋肉に集めて、一刻も早く逃げ出せるような身体の緊張状態を作ってしまうのです。私たちも動物ですから、危険や避けたい出来事に直面すると、無意識に脳や身体がそう反応してしまうんですね。

このような、筋肉に血液(酸素)が集まる状態が続いてしまうと、一方で、内臓に血液(酸素)が十分に行き渡らない状態を作ってしまいます。すると必然的に、子宮や卵巣など、妊娠の機能をになう臓器にも血液がいかなくなり、質の良い卵子ができにくくなったり、着床に適さない子宮の状態を継続させてしまうのです。

否定していた自分をゆるすと、脳の動きが変わっていく

このような理由から、妊娠カウンセリングプログラムの中では、「妊娠できない私は価値がない」「不妊のままではダメだ」という想いを解消していくことをやっていきます。

逆説的に聞こえるかもしれませんが、「妊娠できない私」「不妊のままの私」をゆるして受け入れた時に、身体は妊娠できる状態に整っていくものなのです。

だからと言って、自分の本当の想いにフタをして、「自分を好きになろう」「不妊の私をゆるそう」としても、それでうまくいく人もいれば、うまくいかない人もいます。一生懸命、「不妊の私をゆるそう」として、かえって「ゆるせない自分がゆるせない」と自分を責めてしまうことになっては本末転倒です。

「ゆるし」を行うには、コツがあるのです。

そのコツというのは、「仕方ないから」「諦めよう」という”受け身”な態度ではなく、”主体的に”ゆるすということです。これは文章だけでは少し伝えるのが難しいのですが、この”主体的にゆるす”ということが、不妊をやめて妊娠しやすい身体を作るためには欠かせないポイントだと感じています。

そのため、妊娠カウンセリングプログラムでも、「がんばって、無理やりゆるす」ということはしていません。

「その時に、何が起きていたのか?」を分解しながら、「そこにどんな解釈をつけていたのか?」「そこで何を信じこんでしまったのか?」を丁寧にみていきながら、ゆるしに繋がる解釈につけかえていくことを細かくやっていきます。

そして、思考で自分を納得させるのではなく、内側の深い部分からゆるしが起きたとき、脳の動きが変化します。

今度は脳の”報酬系”という部位が動きだし、いわゆる幸せホルモンを分泌し始めるのです。身体はリラックス状態になり、血液が全身に循環し始めます。それが子宮や卵巣の状態を変化させていくのです。

「妊娠できない自分をゆるしたくない」「不妊のままでは嫌だ」という想いは私も痛いほどよくわかります。

その上で、その想いを手放していき、主体的にゆるしていくことで、現実は大きく動き出していきます。